監獄ロック/ JAILHOUSE ROCK
認知症だった母が、診察に来たドクターにこう聞きました。
「教えて。」
なにを教えて欲しいのか、自分には分かりました。
ドクターもそうだったでしょう。
「なにを?」を分からないふりをして聞きました。
母は返事しませんでした。母も分かっていたと思います。
わからないふりをして「大丈夫やで、心配ないからね」と返しましたが、
母は、なにも言いませんでした。
ジョンレノンは、自分をパロディ化してしまったエルヴィスに近親憎悪的に失望したが、レノン自身が語っているように「エルヴィス以前にはなにもなかった」のだから、エルヴィス自身が新世界を切り開くしかなかった。しかしエルヴィスにはそれだけの野心はなかったし、「エルヴィス以前にはなにもなかった」弊害をエルヴィスは抱えていた。マネジャーのトム・パーカーの存在だ。
トム・パーカーの選択も「悪」とばかりは言えない。実際、誰もが先を読めなかった。パラマウント映画の大プロデューサー、ハル・ウォリスも契約はしたもののどう扱えばいいのか分からなかったし、後日自身のショーのゲストにエルヴィスを迎えたフランク・シナトラさえも「あんなチンピラ、すぐに人気は下がる」と言い放っていた。みんな分からなかった。
後になって、それぞれがそれぞれの立場でいろんなことを語っているが、コロンブスの卵と変わらない。
エルヴィスに野心がなかったことを責めることは過酷すぎる。なにより野心を持たない自由もある。母のために生きること、恋に生きることを責めることを誰もできない。それこそが人はそれぞれに積極的に自己主張(アサーティブ)であることを許されているのだから。これこそがロックンロールの産物であり、恩恵のひとつであり、ジョン・レノンが歌った「イマジン」に通じるものではないのか。「それを言っちゃお終いだよ、レノンさん」なのだ。
結局、エルヴィスもジョン・レノンも、どれほど遠くに行ったように見えても、なんだかんだ言っても、「家族」という束縛から逃げることはできなかった。エルヴィスはなにより家族を愛し、その抑圧から解放されるために、ドラッグやセックスに溺れたとしても、それも「戦いの季節」だったと大目に見てあげればいい。他者に迷惑をかけずに苦しんだのは本人なのだから。
キッチンドリンカーになって早死を選んだグラディスは、自殺にも似ていて、エルヴィスもグラディスに導かれるように同じような選択をした。ジョン・レノンはなぜ愛されながら憎まれたのか。それはジョン自身の父親へのあり方にも似ていて、いかなる成功も個人の胸に宿る孤独に敗れた。
戦いの季節は、それぞれの流儀で敗れることで終わった。
で、自分が言いたいのは、人はみんな死刑囚のようなものだということだ。
不安が人を苦しめるというが、「いつか死ぬ」ということほどはっきりしていることはない。長寿を祝いながら、いつ死刑台に立たされるかわからないまま、毎日孤独と向き合いながら過ごしている。なんとも奇妙な話であるが、いよいと国家予算に反映しなければならなくなってきた。これほど明確なことなのに予算化しないことがクレイジーだったのだ。
オリンピックを控えて「スポーツ庁」を設置することに反対なしで通過したが、それ以上に必要なのは「老人対策庁」だ。介護保険、後見人制度、など老人対策は行われているが、ほとんど机上の空論なのが現実で、使い勝手の悪いさは現実離れしている。
「スポーツ庁」は金儲けにつながるが、「老人対策庁」は儲からないのでアサーティブになれない。いまでは「母の日」の経済効果という始末だ。なんでもバレンタイン、ハロウィンにつぐお金が動くイベントらしい。
こういう話を聞くと、20世紀を代表するアーティストであったエルヴィスやジョン・レノンの葛藤はなんだったのかと寂しく思えるのです。品行方正でなかったけれど、少なくとも彼らは人に優しいアートをめざしたアーティストだったように思うのです。彼らの命と共に失ったのは、「人にやさしいアート」であり、「人にやさしい政治」なのです。
ほんならいきまひょか、<監獄ロック> 人はみんな死刑囚なんやから陽気にいきましょう!
州立刑務所で看守がパーティーを開き
監獄バンドがさっそく演奏を始めた
バンドはノリノリ、雰囲気も最高潮
囚入たちの大合唱が最高にイカしてる
踊ろうぜ、みんな踊ろうぜ
刑務所中のやつらが
監獄ロックに合わせて踊りだす
蜘蛛のマーフィーがサックスでテノールを吹けば
リトル・ジョーイがトロンボーンで対抗さ
イリノイ州出身のドラマーはドラムを叩きまくってた
バンドの連中ときたらみんな過激なやつばかり
*くり返し
囚人47号が3号にこう言った
「この中じゃおまえさんが一番いい男
どうだい、1曲やらないか
俺と監獄ロックを踊ろうぜ」
*くり返し
隅っこじゃ、サッド'サックが石の上に座り
一人でメソメソしてたっけ
看守が言ったよ
監獄バンドがさっそく演奏を始めた
バンドはノリノリ、雰囲気も最高潮
囚入たちの大合唱が最高にイカしてる
踊ろうぜ、みんな踊ろうぜ
刑務所中のやつらが
監獄ロックに合わせて踊りだす
蜘蛛のマーフィーがサックスでテノールを吹けば
リトル・ジョーイがトロンボーンで対抗さ
イリノイ州出身のドラマーはドラムを叩きまくってた
バンドの連中ときたらみんな過激なやつばかり
*くり返し
囚人47号が3号にこう言った
「この中じゃおまえさんが一番いい男
どうだい、1曲やらないか
俺と監獄ロックを踊ろうぜ」
*くり返し
隅っこじゃ、サッド'サックが石の上に座り
一人でメソメソしてたっけ
看守が言ったよ
「ウジウジするな
相手がいなけりゃイスとでも踊るんだ!」
*くり返し
シフティ・ヘンリーがバッグスにつぶやいた
「今こそ脱獄のいいチャンス」
でもバッグスはすかさずこう言った
「それよりここで楽しもうぜ」
*くり返し
監獄ロックに合わせて踊りだす
相手がいなけりゃイスとでも踊るんだ!」
*くり返し
シフティ・ヘンリーがバッグスにつぶやいた
「今こそ脱獄のいいチャンス」
でもバッグスはすかさずこう言った
「それよりここで楽しもうぜ」
*くり返し
監獄ロックに合わせて踊りだす
×5回でフェード・アウト
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